電動スケボーで気を付けたい横揺れ現象「ウォブル」の原因と対策

2019年7月13日

自転車やキックスクーターなどと比べると、電動スケボーは危険を伴う乗り物です。

最新の電動スケボーはついに40km/hの壁を越え、でんすけが普段愛用しているBackfire G2tも最高速度は45km/hを超えます。

これだけのスピードになると、さすがに転倒したらタダでは済みませんよね。

電動スケボーは転倒しやすい乗り物かというと決してそんなことはないのですが、しかし唯一気を付けなければならないのが「ウォブル」という横揺れ現象です。

これだけは本当に気を付けないとヤバい。

今回はこの「ウォブル」に焦点を当て、原因と対策を解説していきたいと思います。

せっかく電動スケボーを買ったけど怖くてスピードが出せないという人は、是非参考にしてみて下さい。

 

電動スケボーにおける危険な横揺れ現象「ウォブル」とは?

「ウォブル(ウォブル現象)」とは、元々はバイクにおける横揺れ現象のこと。

似た現象であることからスケボーの横揺れ現象もウォブルと呼ばれることがあります。

なぜ電動スケボーでウォブルが発生するのでしょうか。

その原因はスケボー自体の繊細さにあります。

 

高速走行時のスケボーは荷重移動に敏感

スケボー(電動スケボー)はスピードを出せば出すほど安定して走るのが難しくなります。

というのも、スピードが出るとちょっとした荷重移動でも動作が大きくなりやすいから。

例えば車で車線変更する際、低速時より高速時の方がハンドルを切る量が少なくて済みますよね。

あれと一緒です。

スピードが上がるとライダーからの入力に過敏に反応するようになるため、より細やかなコントロールが求められるわけです。

実はこれがウォブル発生(増幅)のメカニズムに大きく関係しています。

 

ウォブルは無意識のうちに発生することが多い

人間の体は無意識にバランスを取ろうとしますが、これがウォブルの原因となるケースがあります。

例えば右に重心がずれた際に身体が勝手に修正しようとして、結果今度は左に重心がずれる。

これを繰り返すうちに逆に重心のずれが増幅し、左右にガクガクと振動し始めます。

つまり、無意識に行うバランス修正がウォブルにつながるケースがあるというわけです。

大抵、ウォブルが起こったときはライダーの足もガクガクと揺れているはず。

これはスラックラインの初心者がバランスを取れない様子と似ています。

 引用元 – DOD スラックライン バランスウォーカー DBW01-BK(Yahoo!ショッピング)

それでいて一度振動があることを意識してしまうと細やかな重心の修正は更に難しくなり、一気に振動が大きくなります。

こうなってしまうとなかなか対処が難しいのが正直なところです。

大抵ウォブルを感じてから減速しても遅く、むしろ急減速によって更に症状が悪化する可能性もあります。

 

いっそ大きめにカービングして重心を左右どちらか片方に寄せた方が良いケースもあるかもしれませんが、これも広いスペースとかなりの勇気が必要です。

いずれにせよあまり有効な対処方法がないため、そもそもウォブルが生じないように気を付けることが大切と言えます。

対処より対策。

 

電動スケボーはウォブルが発生しやすい条件が整っている?

ウォブルは普通のスケボーでも生じ得る現象ですが、実は電動スケボーは更にウォブルが発生しやすい条件が整っています。

一つはスピードを出しやすいということ。

もう一つの条件とは、後輪が駆動していることです。

スケボーにおけるウォブルは後輪が左右に暴れ出すところから始まりますが、電動スケボーの場合は後輪が駆動輪であることが多く、一度暴れ出すと駆動力が左右に分散され、振動を増幅します。

振動を感じたら即加速を止めることが大切ですね。(かといって急ブレーキをかけるとそれはそれでバランスを崩しやすいので注意)

 

電動スケボーにおけるウォブルの対策

具体的にウォブルの対策を5つご紹介したいと思います。

  1. 高速走行時は前足コントロールを意識する
  2. リアトラックの動きを硬くする
  3. 目線を先に送る
  4. ボードとスピードに慣れる
  5. ウォブルが発生しにくい電動スケボーを選ぶ

 

ウォブル対策1.高速走行時は前足コントロールを意識する

※便宜上、以下前の足を前足、後ろの足を後足とします。

先述の通り、スケボーにおけるウォブルは後輪が左右に暴れる現象と言い換えることもできます。

裏を返せば、後輪への入力を最小限に抑えることができれば、それだけでウォブルが発生するリスクを軽減することが可能なわけです。

慣れてくれば両足をどこに置いていてもある程度安定して走れるようになりますが、高速走行に慣れないうちは前足で向きを変えることを意識するのもアリ。

 

また、後足のつま先を進行方向に向けたり、かかとを上げたりするのも効果的です。

https://twitter.com/redbullNED/status/1038064489210499072

海外の高速ダウンヒルの動画などでよく目にする姿勢。

speed tuckというらしいです。

これは空気抵抗を少なくすることが主な目的ですが、こうすることでリアへの荷重の影響を最小限に抑えることができ、結果ウォブルが生じにくくなることが期待できます。
(足を縦に置くとデッキを傾けにくくなる)

ただ、慣れるまではこれはこれでバランスを取るのが難しいので要練習です。

また、単純にライダーのバランス感覚に不安がある場合は、スタンスを広めに取ることで重心を安定させるのも有効です。

 

ウォブル対策2.リアトラックの動きを硬くする

スケボーにおけるウォブルは後輪が左右に暴れる現象。

つまり、機械的にリアの動きを抑制してやればウォブルも抑制できるはずです。

具体的にはリアのキングピンナットを締めるか、ブッシュを硬いものに交換すればOK。

大抵はキングピンナットの調整である程度改善するはずです。

 

実際、個人的に電動スケボーにおいてはフロントよりリアを硬めにしたセッティングが好み。

ただ、硬くしすぎると今度はカービング等のコントロール自体がしにくくなってしまいますし、フロントが柔らかすぎると減速時の安定性が低下するので、自分にとってちょうど良いセッティングを追求したいところですね。

まずは柔らかいセッティングで少しずつスピードを出してみて、怖さを感じたらほんの少しだけ硬くします。

これを繰り返し、全開で走れるようになるところまで徐々に硬くしていくのがおすすめです。

逆に硬い方からセッティングを始めると、少し柔らかくしただけで恐怖心が芽生えることがあるので要注意。

ちなみに、どんなに硬くしても最高速で走れない場合は、ボードの品質そのものが悪いかテクニック不足かのいずれかの可能性が大きいです。

 

ウォブル対策3.目線を先に送る

人間の体の動きは目線に左右されやすく、これは様々なスポーツにおいて目線の重要性がささやかれることからも裏付けされます。

目線が重要なのはスケボーにおいても同じで、足元を見るより遠くを見た方が直進安定性ははるかに向上します。

電動スケボーで高速走行する場合は特に顕著で、足元を見ると目から入ってくる情報に対して無意識に身体が構えたり、反応してしまうということも多くなりがち。

これは恐怖心にも関係してくることで、スノーボードを例に挙げるとナイターになったとたんに細かな起伏が見えにくくなって滑りやすく感じることがあります。

目線を下に送ると、なんてことはない細かいことまで目について、必要ないのにそれに対して身体が構えてしまうんですよね。

要するに、視線を落とすと余計な心配事が増え、それに対して過剰に反応してしまう可能性があります。

細かすぎるギャップは意識しないくらいの方が安定しやすい、ということです。

 

また、本当に避けるべきギャップや障害物があった場合、目線を先に送ることでこれらをいち早く察知することが可能となります。

ライダーの荷重移動の他にも、外的要因、例えば路面のギャップや小石などの障害物がウォブルの原因(きっかけ)となる可能性もあります。

直前になってこれらに気付けば、当然急いで避けるために過敏な動きにならざるを得ませんよね。

目線を先に送ることでこれらの障害に早めに気が付くことができれば、ウォブルに限らず様々な危険を安全に回避することが可能となります。

 

ウォブル対策4.ボードとスピードに慣れる

大前提として、電動スケボーで思い通りの旋回ができるよう、ある程度練習しておくことも必要です。

また、一般的にウォブルが大きくなるときはライダーに恐怖心があることが多いようです。

つまり、そのスケボーとスピードに慣れることもウォブル対策の一つとなり得ます。

大抵ウォブルは高速走行時に起こりますから、いきなり最高速チャレンジをするのではなく、低いスピードから徐々に慣れていくことが大切です。

また、「今日はなぜかビビってるな」と感じたら、無理をしないことも大切ですね。

 

ウォブル対策5.ウォブルが発生しにくい電動スケボーを選ぶ

実はウォブルが発生しにくいデッキが存在します。

具体的にはリアだけ幅が狭くなったデッキがそうです。

幅が広いデッキと狭いデッキ、それぞれの端に同じ力をかけると、モーメントの関係で幅が広いデッキの方が傾けやすいことがわかります。

シーソーの前と後ろだと、後ろの方がより小さい力で動かせるのと同じですね。

逆にデッキの幅が狭ければ、無意識に同じ荷重をかけてもデッキの傾きが最小限で済むというわけです。

 

Backfireの最新モデルG2tは旧モデルのG2sと比べてトラック幅が広くなったことがトピックの一つですが、これも高速域の走行安定性に貢献し、ウォブルが起きにくい方向性と言えます。

実際に乗り比べてみると、トラック幅が広くなったG2tはG2sよりはるかに高速安定性が増していることがわかります。

 

注意したいのはデッキが小さい電動スケボー。

スタンスが狭くなると必然的にライダーの重心は安定しにくくなるので、あまり小さすぎるデッキは避けた方が無難です。

一般的にデッキの小さい電動スケボーは最高速が抑えられる傾向にありますが、ごく一部、デッキが小さいのに40km/hを超える性能を持つモデルも存在します。

これらはロングスケボータイプの電動スケボーと比べて繊細なコントロールが要求されることは間違いありません。

とはいえ、これは慣れとテクニックで解消できるものですし、デッキが小さい電動スケボー=品質が悪いというわけではないのでご注意を。

 

電動スケボーでウォブルが発生した際の唯一の対処法

それは、最後まであきらめないこと!

これしかありません。

 

ウォブルが起こってバランスを崩し始めても、絶対に、意地でも最後まで諦めてはいけません。

実はでんすけも実際に電動スケボーで転倒したことが3回ほどあります。

そのどれも、「もう少し諦めずに粘ったらなんとかなったかも・・・」といったものばかり。

そう感じているのに、ではなぜ諦めて転んでしまうのか。

これは自分のイメージと実際のボードの動き(減速)にギャップがあるからだと思われます。

イメージではもっと早く止まれるのに、実際はなかなか減速してくれない・・・。

この差が混乱を生じさせ、最終的に考えることをやめてしまい、諦めにつながるのではないか、と思うのです。

少なくともでんすけはそうでした。

 

実際にこれを意識してから転倒を免れたことがあるので、とにかく最後まで諦めちゃダメです。

 

電動スケボーのブレーキに過信は禁物

今や最高速が40km/hを超えることも珍しくなくなってきた電動スケボー。

しかし、ハッキリ言いますが電動スケボーはブレーキ性能が高くありません。

これはベルトドライブタイプと比べてハブモータータイプのブレーキは効きが悪いとか、そんな次元の話ではありません。

電動スケボーは基本的にブレーキ性能が悪い。

普段乗っている車やバイクはもちろん、自転車などと比べてもかなりの制動距離を要するので、そもそもそれを想定したうえでスピードを出すことが大切です。

 

では、なぜ電動スケボーはブレーキの効きが悪いのでしょうか。

一つは、ブレーキの効きが良すぎるとそれはそれで今度はライダーがバランスを崩す原因になるから。

実際、効きが悪いと感じられるブレーキでもフルブレーキをかければバランスは崩れやすくなります。

ウォブルが発生してからブレーキをかけると、リアの荷重が抜けて余計に振動が大きくなる可能性すらあるわけです。

というわけで、あまりブレーキの効きを強くするわけにはいかないんですよね。

 

もう一つは、ほとんどの電動スケボーはウィールが硬いため、急ブレーキがかかるとウィールがロックしてしまう可能性があるから。

ロックしたらその先は完全に制御不能となってしまうため、やはりある程度ブレーキの効きを抑えるしかないわけです。

例外として、Backfire Ranger X1のようにラバーウィールを採用している電動スケボーの場合、舗装路においてはウィールがロックするリスクが小さいため、少なくとも安心してブレーキをかけることが可能です。

とはいえ、ウィールサイズが大きいとそれはそれで減速時の抵抗が大きくなる方向性なので、やはり過度な期待は禁物です。

 

となると、あとは安全に減速できるだけのマージンを残しつつ走行するしかありません。

一度安全なところで40km/h付近からフルブレーキでどのくらいの制動距離を必要とするのかをチェックしておくと良いかもしれませんね。

 

まとめ│電動スケボーにおけるウォブルはリアの動きに注意して対策しよう!

スケボーにおけるウォブル、そのほとんどはリアが暴れる現象と言えます。

このため、高速走行時にリアに荷重がかからないようにしたり、あえて応答性を悪くしておくことで、発生自体を抑制することが可能です。

対策をおさらいするとこんな感じ↓

  1. 高速走行時は前足コントロールを意識する
  2. リアトラックの動きを硬くする
  3. 目線を先に送る
  4. ボードとスピードに慣れる
  5. ウォブルが発生しにくい電動スケボーを選ぶ

 

特にこれから電動スケボーを買う場合は高速走行時の安定性に着目したチョイスを心がけたいですね。

既に持っているけどスピードを出すのが怖いという人は、是非これらを参考に恐怖心を克服してみてください。