ドロップスルーデッキのメリット・デメリットと電動スケボーとの相性
引用元 – GTR Bamboo Street Electric Skateboard Zipmoney – Evolve Skateboards Australia
スケボーのデッキを低くする手法の一つに「ドロップスルー」と呼ばれるものがあります。
ドロップスルーとは、トラックをデッキの上に貫通させてから固定する構造のこと。
こうすることで、通常よりデッキを低くすることが可能です。
デッキを低くすることは特に高速クルージングを想定した場合は多くのメリットが考えられ、実際に電動スケボーにおいても度々ドロップスルーが採用されたモデルを目にすることができます。
今回はそんなドロップスルーのボードが普通のボードと比べてどんなメリットを持つのか、またどんなデメリットに注意しないといけないのかを簡単にまとめてみました。
電動スケボー独自の目線も織り交ぜていきますので、是非参考にしてみてください。
ドロップスルーデッキのメリット
冒頭にも触れた通り、ドロップスルー構造を採用するとデッキの高さを下げることができます。
デッキを低くするメリットはおおよそ次の通り。
- 高速走行時の安定性が増す
- 操作感がよりダイレクトになる
- プッシュしやすくなる
メリット1.高速走行時の安定性が増す
デッキが低くなると重心も低くなります。
重心が低くなれば左右へのふらつきが減り、直進安定性が増します。
これは速度が高ければ高いほど違いがハッキリと現れます。
また、デッキの位置が下がるということは荷重をかける位置が下がるということで、これにより荷重のかけ方を変えても(ライダーの重心がぶれても)ボードに変化が起きにくくなります。
結果、ウォブルなどのリスクも小さくなり、やはりバランスを崩しにくくなるというわけです。
電動スケボーにおいては平地でも40km/hを超えるスピードを出せるため、このような速度でクルージングをするのであれば、やはり同じように重心を低くするメリットは十分にあります。
なお、重心を低くする方法はドロップスルーの他に「ドロップダウン」という方式もあり、昨今では比較的安価な中華製電動スケボーでも、この辺りの付加価値にこだわったボードが登場してきています。
メリット2.操作性がよりダイレクトになる
一般的にドロップダウンデッキがもっとも多く採用されるのはダウンヒル。
高速で坂道を駆け下りるものですが、ダウンヒルにおいてはコーナーを曲がる際や減速をする際に「スライド」と呼ばれる技術が不可欠です。
このスライドをするにあたって、デッキが低いことは大きなメリットとなります。
デッキが少しでも低くなれば、その分ウィールを真横から押し出すイメージで、ダイレクトにバランスを取ることができるからです。
逆にデッキが高すぎるとスライド時にウィールを押そうとする力(抑えようとする力)が逃げてしまい、バランスを取ることはかなり難しくなります。
例えば底面積に対して高さのある箱を押すとき、下の方を押せば地面の上を滑りますが、上の方を押すと倒れてしまいます。そんなイメージ。
このバランスの取りやすさは、何もスライドに限った話ではありません。
先述の通り電動スケボーは高速で走行することが容易ですが、そのまま高い速度でターンをした場合の操作性も向上します。
メリット3.プッシュしやすくなる
当たり前ですが、デッキが低いということはそれだけデッキと地面が近いということです。
その分、プッシュをする際に足を上げ下げする量は少なくて済みますし、ブレーキをかける際も同様です。
このため操作性が良いことはもちろん、最小限の動きでプッシュやブレーキがかけられるようになるため、クルージングにおいては疲労の軽減も期待できます。
とはいえ、これはあくまで普通のスケボーにおける話。
電動スケボーにおいては多くの人は発進からリモコン操作で加速し、減速もモーターに頼るでしょうから、実感することは少ないでしょう。
一昔前の電動スケボーと違って、「動き出しはプッシュをしないとモーターに負荷が・・・」なんて心配も要らなくなってきていますし。
しかし、もともとスケボーにハマってから電動スケボーに手を出したのであれば、自然とプッシュしてしまうという人も少なくないでしょう。
特にハブモーター仕様の電動スケボーであれば普通のスケボーに近い感覚でプッシュすることができるため、違いを体感しやすいかもしれませんね。
逆に、不慣れな人にとっては単純に「乗り降りしやすい」という点がメリットと言えるかも?
ドロップスルーデッキのデメリット
逆にデメリットは次の通り。
- デッキ形状が制限される
- トラックがデッキの上に出る
- 電動スケボーにおいては地面とのクリアランスが気になる
デメリット1.デッキ形状が制限される
ただし、デッキを低くするとウィールとデッキ背面が接触する可能性が生じます。
これをウィールバイトと良い、こうなるとそれ以上デッキを傾けられないのでターン性能が低下するばかりか、危険を伴います。
というわけで、ドロップスルーが採用されたボードは、ウィールとデッキが干渉しないようにデッキの四隅、ちょうどウィールのあるあたりがカットされているのが一般的です。
この見た目をカッコ良いと感じるか、異質で苦手と感じるかは好みの分かれるところですね。
まぁ異質といっても、同じくデッキ(重心)を下げるというメリットを持つ「ドロップダウンデッキ」と比べれば普通に見えるかもしれませんが。
電動スケボーに限って言えば、大径ウィールを採用してデッキ外に張り出すくらいトレッドを大きく取るのがトレンドなので、デッキ形状の変化も最小限であまり気にならないかもしれませんね。
デメリット2.トラックがデッキの上に出る
これのどこがデメリットなのか、電動スケボーばかりに乗っているといまいちピンとこないかもしれません。
なぜなら電動スケボーはたいていロングボードをベースとしているから。
トラックの位置までスタンスを拡げることってそうそうないんですよね。
しかしデッキが短くなってくると、出っ張ったトラックのせいでスタンスが制限されることに気が付きます。
まぁクルージングにおいては出っ張ったトラックの上に足を置けないこともないのですが、スピードが出てくるとつるつる滑って怖さを感じるシーンもあるかもしれませんよね。
デメリット3.電動スケボーにおいては地面とのクリアランスが気になる
デッキが下がると、当然デッキ裏面と地面との間は狭くなりますよね。
しかし、電動スケボーにおいてはここにバッテリーやESC(スピードコントローラ)といった電子部品を搭載する必要があります。
これらを擁するハウジングが大型な場合、地面との間は極端に狭くなる可能性があるというわけです。
同じくデッキを低くすることが可能なドロップダウンの場合、こちらはAT(オールテレーン│全地形対応型)モデルの電動スケボーに採用されることが多いため、大径ウィールのおかげで影響は少なく済むのですが、ドロップスルーデッキはストリート仕様の電動スケボーにもそれなりに採用されています。
これらはストリート(オンロード)においては問題なくても、ちょっと荒れた地形を走ると底づきする可能性がある点には注意が必要です。
・・・実際はハウジングの大きさ自体がモデルによって様々なので、ドロップスルーでなくてもドロップスルーのモデルより最低地上高が低いボードもあります。
一応頭に入れておきたい、といった程度の小さなデメリットと考えてOKです。
電動スケボーにおけるドロップスルーデッキの評価まとめ
電動スケボーに限って言えば、ドロップスルーはメリットの大きい構造と言えます。
やはり重心の低さが高速走行時の安定性に貢献することと、高速ターン時におけるバランスの良さがポイント。
もともと高速ダウンヒルで好まれるドロップスルーが、平地でも高速走行が可能な電動スケボーと相性が良いというのは、ある意味当然です。
ただし、電動スケボーの場合は最低地上高に気を付ける必要があります。
もちろん、予め問題がある製品は販売されないはずですが、ギャップの大きな路面などを走行する際は、問題がないか事前にチェックする必要があるかもしれません。
とはいえ、「Evolve GTR」や「WINboard Spark S」、「Teamgee H9」など、これまでドロップスルーを採用してきた電動スケボーはハウジングも薄型のものが多い印象を受けます。
恐らくメーカーもこの辺りのデメリットはわかっているはずなので、あまり心配する必要はないかもしれません。
となると、あとは見た目(デッキの形状)さえ気にならなければ、電動スケボーにおいてはドロップスルーは良いこと尽くしと言えそうです。
特にスポーティーな乗り味を楽しみたい人には是非おすすめしたいチェックポイントと言えます。
また、AT(オールテレーン│全地形対応型)モデルの電動スケボーにおいては、ドロップスルーとドロップダウンを組み合わせて採用されるケースが多々見られます。
Backfire Ranger X1,X2などもそうですね。
ドロップダウンやコンケーブの有無と合わせて、電動スケボー選びの際はコンケーブの有無にも是非注目してみてください。
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